2006年 09月 25日
非時香菓 |
初夏の金魚は眠り足りなくて終日さゆらぐ藻のなかの赤
武蔵野はここ過ぎてなお春の闇 逃げ水という水のあること
伐られてもなお咲くさくら今生に愁いなきごと光りまとえば
宝塚ホテルの蔦は見ていたね大劇場が傷んでも猶
雑踏の中に一つの肩がありその肩で見る炎の祭り
機械屋さん発明屋さんお父さんあなたの何を私は継いだ
教えてねいつかロマンチストの一生が幸福だったか不幸だったか
辛夷散り孔雀も羽を閉じたから木々は迎える驟雨の夏を
プーランクの第二楽章聴いている 小鳥が聴いた風の囁き
お終いにしようね夏が来ているよ蜜蜂の受粉も終った
山吹も藤も城下の鯉が好き さくら吹雪も忘れぬ疎水
江戸の茶屋 隅田の川の花吹雪 花はあの世もこの世も美しき
藤の花はもう咲いているかしら紫の、そして白の藤の花
船舶用吊り下げランプ点燈し緑色した時間始まる
何日ももう何日も何日も 月が覗くよ死の翳の谷
終る春 かなしみ知らぬ橡の木も若葉の五月迎えただろう
ときじくの実が熟れ海の潮騒が聴こえるような春の満月
満月が零した滴集まって夜は優しく プーランク「シンフォニエッタ」
非時香菓(ときじくのかくのこのみ)のかぐわしく雨の春夜も日照りの夏も
第二楽章、中でも最も美しい数節の連弾が消えている
見憶えがあることつまらないことが気になる雛壇の雛
難有りと指摘する人される人 春は朧の月も出る頃
月光が覗いていった夜でした あなたが来たって思いましたよ
曲線は重なってゆくピアノから半身既に抜け出している
2台のピアノのための協奏曲 第1楽章から始まる朝
十六夜の月の翌朝の蝙蝠や白梟の眠りのために
五・七・五で書く病気まだ癒えず さよなら▼また来て■
無造作にそこにあるから顧みず振り返らずにそろそろ枯れる
*************蜿蜒と蜿蜒と続く鉄条網の中
花びらを浮かべて夜の水溜り 飛行機雲はもう映さない
ロスアラモス、原子の光生れる場所 オッペンハイマー博士の双子
Atomic bomエノラ・ゲイ号が運ぶのはリトル・ボーイと名づけた爆弾
Atomic bombボックス・カーが運ぶのは太った男と名づけた爆弾
エノラ・ゲイはこんな飛行機 ぬばたまのヒロシマの雨降りしきる
おそらくは歴史への無知が私たちをやがて滅ぼすいつかのように
武蔵野はここ過ぎてなお春の闇 逃げ水という水のあること
伐られてもなお咲くさくら今生に愁いなきごと光りまとえば
宝塚ホテルの蔦は見ていたね大劇場が傷んでも猶
雑踏の中に一つの肩がありその肩で見る炎の祭り
機械屋さん発明屋さんお父さんあなたの何を私は継いだ
教えてねいつかロマンチストの一生が幸福だったか不幸だったか
辛夷散り孔雀も羽を閉じたから木々は迎える驟雨の夏を
プーランクの第二楽章聴いている 小鳥が聴いた風の囁き
お終いにしようね夏が来ているよ蜜蜂の受粉も終った
山吹も藤も城下の鯉が好き さくら吹雪も忘れぬ疎水
江戸の茶屋 隅田の川の花吹雪 花はあの世もこの世も美しき
藤の花はもう咲いているかしら紫の、そして白の藤の花
船舶用吊り下げランプ点燈し緑色した時間始まる
何日ももう何日も何日も 月が覗くよ死の翳の谷
終る春 かなしみ知らぬ橡の木も若葉の五月迎えただろう
ときじくの実が熟れ海の潮騒が聴こえるような春の満月
満月が零した滴集まって夜は優しく プーランク「シンフォニエッタ」
非時香菓(ときじくのかくのこのみ)のかぐわしく雨の春夜も日照りの夏も
第二楽章、中でも最も美しい数節の連弾が消えている
見憶えがあることつまらないことが気になる雛壇の雛
難有りと指摘する人される人 春は朧の月も出る頃
月光が覗いていった夜でした あなたが来たって思いましたよ
曲線は重なってゆくピアノから半身既に抜け出している
2台のピアノのための協奏曲 第1楽章から始まる朝
十六夜の月の翌朝の蝙蝠や白梟の眠りのために
五・七・五で書く病気まだ癒えず さよなら▼また来て■
無造作にそこにあるから顧みず振り返らずにそろそろ枯れる
*************蜿蜒と蜿蜒と続く鉄条網の中
花びらを浮かべて夜の水溜り 飛行機雲はもう映さない
ロスアラモス、原子の光生れる場所 オッペンハイマー博士の双子
Atomic bomエノラ・ゲイ号が運ぶのはリトル・ボーイと名づけた爆弾
Atomic bombボックス・カーが運ぶのは太った男と名づけた爆弾
エノラ・ゲイはこんな飛行機 ぬばたまのヒロシマの雨降りしきる
おそらくは歴史への無知が私たちをやがて滅ぼすいつかのように
by sho3id
| 2006-09-25 08:34
| 短歌