2010年 01月 31日
「森の時間」 |
・突然に暗黒世界がやってきて霧という霧あつめて去った
・湧水が生まれる森の奥深く胞子無数に浮遊する夜
・その人は幸福だろうか語られて視られて一つの伝説となる
・昔いた 山荘に住む少年が 詩画集のこす無口な人が
・最後の日々苦しんでいた気配がある 直射日光隈なく射して
・ある意味で殺された人 春浅い汽水の水の満ちて引く間に
・静謐な時間が流れ深海に光を避ける時間が流れ
・胸中に笹竹が生え笹竹は光のそよぎ風に伝えて
・ひっそりと絵を描いていた少年がひきずり出された空中画廊
・深層の心理伝える手紙書く手紙は森のポストに届く
・広場では篝火高く積み上げて祭りの準備も終ったらしい
・明けやらぬ未明の空を墜ちてゆく昨日巣立った春の山鳩
『開放区』2010.2.1
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by sho3id
| 2010-01-31 14:26
| 短歌